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1990年代初期に発行されたハイ・イールド債のいくつかは、債務形態での債券発行である。債務発行後、発行企業は通常は、それほど高くないレベルの債務を維持してきた。1997年及び1998年の発行の少なくともその一部は、投資の代替物として、債務市場を利用したものであった。発行の時点での債務レベルは非常に高く、資本金の70〜80%であった。取引による損失を受けて、一般に債務レベルは更に増大した。このレバレッジ過剰は結果として、ほとんど全ての債券について格付け機関による格付けの降下を招いた。これが、第2次市場での取引価格の減少をもたらし、これが債務不履行のリスクの増大とうらはらに、投資家にとって満期までの利回りを増やすこととなった。債券価格が下がるにつれて、債務不履行あるいは不履行に近い債券投資(「はげたか投資」とも呼ばれる)を専門にしている投機的な投資家にとって、それらは魅力のあるものとなるのである。

1997年及び1998年に発行された海運債券のいくつかは、不履行寸前であったり、不履行となったことがよく知られている。それぞれに特定の理由があるが、1997/8年の債券発行構造と通常の銀行貸し付けの基本的な相違は次のとおりである。:

* 債務レベルが高すぎた

* キャッシュクッションがなかった

* 海運事業の質、構造または経営(あるいは3つの全ての組み合わせ)が貧弱であった

関係投資家は投資の投機的性質をよく認識しており、また、格付け機関は、他のハイ・イールド投資に比較して海運債の格付けには首尾一貫しており、多くの債券が不履行又は不履行寸前になったという事実それ自体が、債券を否定する判断につながるものではない。

 

 

 

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