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本報告書では、分析されたリースの形式は、海運業への融資の独立の様式の一つとして扱われている。これは、確認された大型リースは大体において、大手の法人海運会社への直接融資であったためである。これらの直接融資の融資源は、通常は海運銀行ではない。たとえば、英国では、住宅建設組合であったり、独自のキャッシュを持つ、あるいは、リース融資のために非海運銀行から借入を行う上場会社であったりする。

海運リースに他の形式も存在し得る。一つの例としては、海運銀行からの保証によって信用強化されたり、又、おそらく当該海運銀行によって融資も受けている中規模、小規模の船舶所有者へのファイナンス・リースである。この種のリースは、この報告書の中では、海運銀行債務の中に含まめて整理した。もう一つのリースの形としては、K/S(デンマーク)又はKG(ドイツ)の税金組合である。この報告書では、こういった方式の個人投資部分は個人投資と整理し、債務部分は銀行債務と整理した。

直接リースの場合、通常、次の要件が満たされる必要がある。

* 借入人が長期間船舶を必要としていること。

* 借入人は、第一級の信用リスクを有しており、通常、大規模な法人バランス・シートを有していること。

* 借入人への賃貸料を減少することができるような貸出人に対する税金優遇措置があること。

リースは、普通のファイナンスの中の、ほんの一部分であり、ほとんどの海運会社とは余り関係がない。この様なファイナンスの中のわずかな要素に対するこれ以上の詳述は割愛する。

海運業に対するタックス・リースは、時として貸出人にとって魅力のあるものである。リースの成約量は、優遇税制や貸出人の節税対策の利用可能性、航空会社などの他の借入人候補者に対する海運へのクレジットの魅力等による。一般に税金制度はここ20年の間に調整されて、無関係の、非課税主体への単なる「節税対策の切売り」の可能性を排除している。派生していた税金の恩恵は減少してきており、借入人は高い信用状態が要求されるため、通常、クルーズや定期船部門など海運の特定の部門だけがタックス・リース市場のアクセスが可能となっている。

海運業の資本評価の分析においては、リースはEME海運業の総資本の2%という、非常に小さな要素に過ぎないと推定される。この資本30億ドルは、EMEの総債務810億ドルのおよそ4%である。既に述べたように、現存するリースのデータベースは、十分に整備されていないため、実際の量は、本報告書で推定したものより多い可能性もある。リースの成長は、1997年以降大きくなっているが、これは英国における船舶のタックス・リースがより魅力ある物になったためである。他にリース法人税がより魅力的となってきた市場としては、ドイツがある。

 

 

 

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