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株式市場における海運会社の初期又は第2次株式発行は、あまり人気がない。海運業界の統合の傾向は、長期的には、より効率の良い、より大きな海運会社を生み出す結果となり、株式投資家を引きつけるのに必要な安定した配当をもたらすことができるかもしれない。

 

1.14 海運資本の需要と供給

世界及びEMEの海運業の資金を供給するために必要な既存及び新規の融資については、第6章に詳述するが、その結論の要約を表1.Bに示す。

海運業にとっての主な新規資本源は、債務である。債務は、ローン返済のための借り替えと、中古や新造船の資産価値に対する新規債務から構成される。海運業の債務額は、新造船発注の急激な増加に対する資金供給のために、ここ数年非常な割合で増大している。業界は、ほんの少額、他の資本源(例えば、投資)に頼る必要はあろうが、商業銀行及び政府系金融機関による通常の条件での融資で、EME内の資本需要のほとんどを賄うことができるであろう。しかしながら、EME外での資本需要は、海運業自体の資本評価額から見てかなり高いものがある。資金需要を満たすためには、地域のポートフォリオに占める通常条件での債務の割合が、大きく増大(1999年で17%)することとなる。また、EME外の海運業は他の資本源からも資金を調達する必要がある。現在の海運市況や金融市場の動向を考え合わせると、銀行ポートフォリオの成長が緩慢であること、また、他の資本源の利用も困難であることから、1999/2000年はEME外の海運資本の供給が逼迫するかもしれない。

 

表1.B:1998-2002年の海運業の所要資本 (単位:10億ドル)

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