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4. 研究開発の成果

 

本年度の研究開発では、以下の成果が得られた。

 

4.1 現状の離着桟操船パターンの整理

VLCCの離着桟操船の現状を調査し、一連の(操船のフェイズ・タグボートの配置・運動の制御・推力の分配に関する)パターンを抽出することができた。

 

4.2 分散協調システムの設計

4.2.1 ユーザインタフェイスの開発

単純で明確な操作によって船体運動を制御するために、3ヶの制御力(前後力・左右力・回頭モーメント)を与えて操船する手段を開発した。

 

4.2.2 推力の分配機構の開発

操作部に与えられた制御力の総量を、個々のタグボートに分配する機構を開発した。

これは、前記の操船パターンをプロダクション・システムに与えることによって動作しているため、パターンの拡充によって、システムを継続的に改良することができる。

 

4.3 KGPSによる測位システムの構築

KGPSによる位置・速力・方位の検出を、実船によって試験した。

地上局の近く(1マイル程度)では、KGPSによる高精度の測位データが得られ、着桟システムの要件を満たすことが確認された。

 

4.4 操船シミュレータによる分散協調システムの評価

開発したユーザインタフェイスを用いることによって、オペレータの作業負担が大幅に軽減されることが確認された。さらに、分配機構によって、タグボートの推力が有効に利用され、効率的な操船を実現できることが確認できた。

 

5. 目標達成の見通し

 

5.1 研究開発の目標

(1) 運用限界の向上

下表に示す改善を目標とする。

(2) 岸壁接触事故の防止

(3) 運航効率の改善

(4) 入港条件の緩和

 

117-1.gif

 

5.2 達成の可能性

まず基本的な効果として、多数のタグボートに対して、同時にコマンドを出すことが可能になるため、従来よりも、タグボートの推力を有効に使い、きめ細かな制御を実現できる、すなわち、操船の効率が向上することが挙げられる。

したがって、余裕が乏しい場面でも危険を冒さずに操船できるため、従来の操船の限界を克服することができると考えられる。

 

 

 

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