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2.2.2 曝気槽

バス、厨房、洗濯廃水などにも多くのBODが含まれる。初期の目的であったBOD:50mg/l以下を満足するため、曝気による好気性処理を行なうこととした。ここで採用したのは、装置を最も小型化でき、陸上合併処理でも多く採用されている膜分離方式の活性汚泥法である。通常は負荷も汚泥量も多い汚水を含む合併処理を対象とした方式であり、当該装置での使用は、負荷も少なくメンテナンス間隔も長くなることが期待できる。また、後に示す紫外線殺菌法は、紫外線の透過率がその処理性能に大きく影響する。汚濁物を膜によって強制分離させる膜分離方式は、より透明度の高い処理水が得られることから、当該装置に最も適した方式といえる。

 

2.2.3 紫外線殺菌処理

廃水処理の最終過程における殺菌方法として、紫外線殺菌法を用いた。船舶用の汚水処理装置では、安価で取扱いが簡単な塩素系水処理剤を使用する場合が多いが、カナダの五大湖及びセントローレンス河などの河川や湖では使用を厳しく制限しているなど、その有害な残留物が環境へ与える影響も大きく、海洋環境においても無視することはできない。紫外線殺菌法は比較的簡単で、殺菌力が強く、残留物による二次汚染がないため、安全で非常に優れた殺菌法と言える。

本研究開発では、その殺菌効果の確認と装置への応用を図るため、簡易試験装置を製作し大腸菌の殺菌試験を行なった。文献による一般的な生活廃水の性状を表1に示す。大腸菌のデータは適当なものが見つからず、風呂廃水についてのみ実液を測定した。

 

表1 生活雑廃水の用途別汚濁負荷量原単位(1)

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(1) 紫外線殺菌試験

紫外線ランプと菌液(大腸菌群数120個/cm3)を入れたフッ素樹脂容器との距離を100mmとし、設定時間シャッタを開いて紫外線を0.6mW/cm2で照射し、処理液中の大腸菌群数を測定した。この時、殺菌効率の向上を期待し、光触媒(酸化チタン)の平板を液中に挿入して同様に紫外線を照射する試験を行なった。結果を図3に示す。予想に反して、光触媒を挿入した処理液より、紫外線のみ照射した方が殺菌率が高い結果が得られた。これは以下の理由によるものであると推測する。

 

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図3 紫外線殺菌試験結果

 

 

 

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