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1] 秒単位での殺菌には不向きである。

2] 平板では菌との接触効率が望めない。

3] 平板が紫外線の光路を妨げた。

光触媒を利用した水処理装置は既に開発されていることから、特性に合わせて使用することで、さらなる効果が期待できるであろうが、船舶用としては紫外線のみでも十分な殺菌能力が認められたため、光触媒の使用については後の課題とした。

(2) 殺菌槽の設計・製作

同様に条件を変えながら試験を行ない、得られたデータより写真1に示す殺菌槽を製作した。被処理水に紫外線を照射するためには、紫外線の透過率に優れた材料を用いる必要がある。一般のガラス管や樹脂管では紫外線を透過しにくく、十分な殺菌効果が得られない。本装置では、先の実験にも使用した光透過性フッ素樹脂製のチューブ管を使用した。フッ素樹脂は、より透明なものでも半透明状で、光を透過し難いようにみえるが、紫外線においては優れた透過率を示すだけでなく、その特性から汚れ難く、腐蝕に対しても優れている。このフッ素樹脂チューブを4本の中央に同じ長さの紫外線ランプを1本設置したものを、20秒以上の滞留時間を得るため2組使用し、装置側面に内蔵した。

 

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写真1 紫外線殺菌槽

 

2.3 生ごみの処理方法

船舶からの生ごみ等を排出する際、規制海域内においてはディスポーザによる粉砕排出が義務付けられている。しかし国によっては排出を禁止するところもあり、汚水同様に規制が強まることが懸念される。本装置は、これらの廃水から分離させた固形物を真空乾燥処理し、船内にて焼却処理又は保管・陸揚げが可能な乾燥物として生成することを目的としている。数ある乾燥方法の中から、本装置において真空乾燥を採用した理由を以下に示す。

1] 真空ポンプの排気を、通常は廃水処理槽の曝気に使用できる

2] 他の乾燥法に比べ、より短時間に乾燥度の高い乾燥物を生成できる。

3] 熱源として船舶で利用できる廃熱等を利用できる。

4] 設備が小型化できる。

5] 臭気等の衛生面において優れている。

 

2.3.1 真空乾燥試験

真空乾燥を行なう上で最も重要な点は、温度を効率良く被乾燥物に伝えることである。容器内に水を入れて真空にすると、水の沸点が容器内の水の温度まで下がり、水が沸騰し始める。水は蒸発すると気化熱として熱を奪うため、水の温度が下がる。これを繰り返すと水はやがて凍結する。よって真空乾燥を行なうには、水の温度をその真空度での沸点以上に保つ必要があり、加熱が必要となってくる。

 

 

 

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