本船型は船首フレアー部が瘠せているため、船首沈下の増加による船首部造波抵抗の増加に比べ、船尾沈下の減少による船尾部造波抵抗の減少の方が大きく、トリムタブ付加等により船首は沈下するものの、全抵抗は減少した。これらの結果を基に本船型開発では、船尾端をいたずらに延長して船体構造を大きくすることは避け、簡単な構造となるトリムタブ付加を採用した。
2.3.3 抵抗、自航試験等
前述の検討結果を基に、トリムタブ付の船尾船型に対し、満載状態およびトリム0.60mの70%載貨状態<70%載貨(2)>において、抵抗試験、荷重度変更法による自航試験、船側波形計測、波形観察および流線観察を実施した。それらによると、本船型は大直径プロペラを装着する瘠せ型船尾船型であるため、伴流利得が少なかった。また、70%載貨(2)<トリム0.60m>状態、フルード数0.339(20.0ノット相当)における船側波形は、Sq.St.4-1/4〜4-1/2付近を中心にほぼ前後対称の水面形状であり、局所的な凹凸もほとんどなかった。さらに、写真2に示される鉛白硫化アンモニウム法による流線観察によると、70%載貨(2)<トリム0.60m>状態、フルード数0.339(20.0ノット相当)における船体表面流れは全般的にスムーズであるが、船尾張出し部付け根(Sq.St.1/2)付近に遅い流れが見られ、改善の余地が多少残された。