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簡易式自動倉庫の配置に関しては次のことに留意した。

(1) フォークリフトがパレットを積載し自由に走行するための最小フォークリフトスペースを荷役装置に隣接して設けた。(このスペースは棚を設けないがパレット積載にも利用出来る。)

(2) ホールド寸法をパレット用ラックに合わせている。即ちT11パレットを4段積出来るラックを設置し、そのラックを船体に固定する工事が可能なホールド深さとしている。

又、パレット用ラックが6列並ぶホールド幅としている。

(3) 当然のことながら、パレットが1個でもつめる所にはラックを設け積載するパレット数を最大にしている。又、図4に示すように、ホールド前後にクレーン軌道用凹入スペースを設けていて、積載可能パレット数を増加させている。

 

2.4.2「船倉配置とパレットラック方式の検討」で述べたように、現在船用として開発された自動倉庫は国内にはない。そこで、陸上用をどのように改造して動揺する船舶に用いるかを検討した。以下にその概要を記す。

1] 荷重は、トリム、ヒールによる傾斜成分及び船の動揺による加速成分を考慮する。

2] パレット用ラックは船体構造に溶接で固定する。

3] クレーン軌条はタンクトップでは1条とし、全軌条のうち1条はラックアンドピニオン方式としてトリムによるクレーンの暴走を防ぐ。

4] 航海中の本船の動揺によるパレットの移動、落下防止対策を行う。

5] パレットとパレットラックの隙間をスタッカークレーン付きピッキングフォークが確実にパレットを捕まえる寸法にする。

6] 機器類は防錆・防爆とする。

7] 電線は船の動揺に耐える材質、配線方法とする。

8] 貨物の火災発生に対する対策を行う。

 

2.6 荷役時間と運航モデル

一般雑貨の貨物輸送を対象として、多頻度、小口輸送、多極化、多様な流通サービスに対応出来、また、全天候荷役が可能で、かつ潮位変化により、トラックの荷役待ちを解消出来る船として本船の荷役時間、及び定時運航のモデルを下記のとおり検討した。

 

2.6.1 設定条件

(1) 荷役時間は約600個のパレット貨物を8時問以内に荷揚げ又は積み荷可能とする。

(2) 航海速力は12ノットとし機関のメンテナンス、荒天による遅れ等は考慮していない。

(3) 船の荷役は24時間荷役、休日荷役、雨天荷役が可能とする。

 

2.6.2 荷役時間

600個のパレット貨物の積み荷又は揚げ荷の一括荷役時間を下記のとおり計画した。

荷役装置は2個のパレット貨物を同時に荷役することで荷役サイクル数を決定した。

 

 

 

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