日本財団 図書館


次にパレット貨物のみを荷役装置で荷役する場合は次の三方式が考えられる。

(1) 舷側にショアランプを設け、フォークリフトで船内エレベーターにパレット貨物の受け渡しを行う方式

(2) 舷外まで船内エレベーターのパレット受け台を振り出してフォークリフトによるパレット貨物の受け渡しを行う方式

(3) 船内デッキ裏にトロリークレーン(振り出し式)を設け、クレーン下まで運ばれたパレット貨物の受け渡しを行う方式

以上のパレット貨物の水平荷役方式についてその得失を比較検討して、本船の最適設備として振り出し式エレベーター方式を決定した。その比較を表2「荷役方式、荷役設備比較表」に示す。

荷役人員が少なく、荷役の手順がシンプルなこと及び全天候型荷役に最も適していることから、「トラック直接乗入れ方式」の詳細な検討を行った。その結果、ショアランプの支点を船体中心線近くに設けて、ショアランプ及び通過トラックによる船体傾斜を最小に出来るように検討したが、スペース上499総トンの船型では無理があることと、ショアランプ架設のため荷役可能な潮位が限定されることから、荷役方式の決定については、広範囲の潮位変化に対して対応出来て、全天候性を有し、更に荷役の定時性が確保し易いことから「振り出し式エレベーター方式」を採用した。

 

2.4.2 船倉配置とパレットラック方式の検討

2.3「一般配置」で述べたように、パレット配置の最適化を図るため、船倉のパレット貨物の各格納方式についてその得失を比較検討した。

船倉のパレット貨物の格納方式を大別すると二つのカテゴリーがあり、その概要は次表のように整理出来る。

 

051-1.gif

 

各方式の比較を表3「パレット貨物の船倉配置とパレットラック方式比較表」に示す。

研究開発の目的に示された「物流において不可欠となるトラック輸送とのスムースな連結を可能とする船舶」とは、パレットを船舶で輸送中に陸上輸送と同じ物流管理が重要であることから、パレットラックを設ける方式を採用した。

完全自動倉庫方式と簡易自動倉庫方式との比較では、次の理由から後者を選択した。

(1) 完全自動倉庫方式は全国的に陸上との一貫輸送システムが確立され、完全なネットワークが構築される状況においては最適であると考えられるが、現状において、地域内又は近距離輸送においての輸送モードでのモデルを考える上において、簡易自動倉庫方式がより実際的であると考えられる。

(2) 自動倉庫は現在陸上設備として使用されており、船舶用としては設計されていないが、簡易自動倉庫方式であれば陸上で使用されている設備を船体の動揺、傾斜、振動等の設計条件等を見直しすることにより、船舶用として実用化出来ると判断した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION