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3. 燃料油(液体炭化水素)からの還元剤を用いた舶用脱硝プラントの研究開発

 

研究開発名 燃料油(液体炭化水素)からの還元剤を用いた舶用脱硝プラントの研究開発

研究開発期間

開始 平成12年4月1日

完了 平成13年3月15日

研究開発実施者名 川崎重工業株式会社

主任研究者 竹村正

研究開発費

事業費総額 26,489,552円

補助金額 21,100,000円

 

1. 研究開発の目的

 

近年、地球の温暖化、酸性雨、オゾン層の破壊など、大気汚染により生じる環境問題が地球規模で顕在化してきており、海上においても、国際海事機関(IMO)で、船舶からの排気ガス中の窒素酸化物等を規制しようとしている。現在、発電所等の陸上プラントでは、アンモニアを還元剤として用いる脱硝装置が使用されているが、舶用ディーゼル機関へ適用するには、還元剤の安全性や経済性、供給の面で問題がある。

一方、近年、エチレンやプロピレン等の炭化水素を還元剤に用いる脱硝技術に関する基礎研究が実施され、これらの炭化水素でも舶用ディーゼル機関の排気ガスの脱硝が可能であることが判明した。燃料油からの炭化水素を還元剤として使用できるようになれば、取扱いや価格、供給の点から排気ガス規制の受入れも容易になり、地球環境の保全に寄与できるようになると考えられる。

このような観点から、舶用脱硝プラントのための要素技術研究として、燃料油からの還元剤の生成・供給方法に関する研究、および陸上用脱硝試験装置を用いた液体炭化水素系還元剤による脱硝特性評価試験を行い、大気汚染防止、地球環境の保全に資することを目的とする。

 

2. 研究開発の内容

 

2.1 研究開発の概要

本研究開発は、船舶用脱硝プラントとして最も有望視されている炭化水素を還元剤とする脱硝装置の液体還元剤に関するものである。炭化水素系還元剤による脱硝の原理を図1に示す。また、燃料油からの炭化水素を還元剤とする舶用脱硝プラントの概念系統図を図2に示す。

本研究開発では、燃料油からの炭化水素を還元剤とする舶用脱硝プラントに関する要素技術研究として、液体還元剤の気化・拡散方式を検討するとともに、陸上用脱硝試験装置を用いてその有効性を検証する。これと並行して、燃料油から軽質分をできるだけ多く取り出す方法に関して検討を行い、簡易的な手法で特性評価試験を実施する。

研究開発は、3ヶ年計画で実施するものであり、年度別の展開は次の通りである。

平成10年度:液体還元剤の気化・拡散特性の評価など

平成11年度:脱硝試験装置の設計・製作など

平成12年度:脱硝特性評価試験など

 

 

 

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