補助研究
1. 撥水性セラミックス材料の開発
研究開発名 撥水性セラミックス材料の開発
研究開発期間
開始 平成10年4月1日
完了 平成13年3月31日
研究開発実施者名 株式会社いすゞセラミックス研究所
主任研究者 北英紀
研究開発費
事業費総額 11,426,662円
補助金額 9,120,000円
1. 研究開発の目的
近年、船舶の高速化、低燃費化にともない、船体と水との摩擦抵抗を減らす材料が求められている。流水に対する推進抵抗削減には、表面形態の制御や撥水性の付与、またフジツボ等の生物の付着を抑制することが有効である。フジツボ等の付着防止には、有機スズや亜酸化銅等の有毒金属元素を含んだ塗料が用いられてきたが、海洋生物の生態系に影響を及ぼす等の問題があった。
本研究では、化学的に安定なセラミックス粒子と樹脂を組み合わせ、撥水性、表面形態、生物付着性を制御することにより、船舶航行時の摩擦抵抗が小さく、生態系への影響の少ないセラミック系構造制御型材料を開発することを目的とする。
2. 研究開発の内容
2.1 研究開発の目標
フジツボ等の海洋生物の付着を抑制するセラミックス材料の探索を行い、これを用いた塗料表面の形態制御を試みる。また撥水性と摩擦抵抗との相関性を調べ、さらに3年間の耐久性を実証するための加速試験法の検討を行い、これらを組み合わせて従来の塗料に比べて水との摩擦抵抗が5%以上小さく、耐久性に優れたセラミック粒子複合塗料の研究開発を行う。
2.2 生物付着性評価の試験
2.2.1 概要
フジツボ等の海洋生物が船舶外板に付着すると、水中での摩擦抵抗を上昇させるだけでなく、船体重量増につながるため、燃費悪化の大きな要因となる。フジツボの付着を防ぐために選定したセラミック粉末について、その効果を検証する。
2.2.2 実験方法
表1に使用した粉末を示す。表1の粉末を選択した理由として、撥水性シリカは塗装面の表面エネルギーを小さくして物質の接着を抑える狙い、リン酸セリウム、マイカについては塗装面に負電荷をチャージさせて反発力を与える効果を期待した1)。