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フロンの使用禁止に伴い開発されたのが、分子中に塩素原子を含まないいわゆる代替フロン(HFCs)であったが、これもHCFCs並でないものの大きな温室効果を持つことが確認されており、陸上ではその使用に際して漏洩・廃棄対策などの管理体制が整いつつある。冷凍コンテナを含む船舶の冷凍施設からのHFCsについても、再充てんの際の過充てんの防止、積み下ろしの際の慎重な取扱による破損等の防止、廃棄時における冷媒の全量回収などを徹底することにより、その漏洩量の削減は可能である。

これらCO2以外の温室効果ガスへの対策により、仮に相当量の漏洩を防止できれば、CO2排出量に換算して2%に近いの削減効果が見込める可能性もある。

 

4] 船舶の大型化

船型の大型化は、原油タンカーでは過去において目指された大きな技術トレンドであり、1975年の日精丸(484,337DWT)や1980年のJahre Viking(555,819DWT)など過去にはULCCが建造された。しかしながら、近年はこのようなULCCクラスの超大型タンカーは建造されておらず、VLCC級やスエズマックス級のタンカーに需要は移行してきた。これは、先物市場が発達している原油の場合、大規模なペイロードによる輸送において大きな価格下落があった場合に、買い手にとって大きな損失につながる可能性があることから、経済的に適正なサイズの輸送が指向されていることや、マラッカ海峡やスエズ・パナマ運河など地峡の制限要因などによる。今後10年で1970年代に建造された大型ULCCやVLCCの解撤が進む事になるが、この場合もVLCC級やスエズマックス級タンカーへの置き換えが進むものと考えられる。ただし、LNG船、LPG船、重油などの石油製品タンカーについては今後輸送量が大きく伸びる可能性もある。特にLNG船では陸上パイプライン敷設計画の遅れがあれば、海上輸送量の大きな伸びとともに大型化が志向される可能性が残されている。また石炭液化技術が軌道に乗れば、これにより生成されたDMEなどの液化燃料を運搬する大型プロダクトタンカーの出現の可能性もあろう。

ドライバルクについては、原料の輸送については専用船化が進んでいるが、顕著な大型化の傾向は現在は見られない。

一方、コンテナ船では大型化の傾向が顕著である。現存コンテナ船の船型・船齢構成(表1.2-7)をみると、1980年代半ば以降、4,000TEU/隻以上の大型船が建造され、その後も建造・就航が続いていることに加えて、1,000TEU/隻未満の小型船の建造数は減少し、1,000〜4,000TEU/隻の船舶が増加している。最近のロイズリストの記事によれば25kntの運航速度条件下で40ftコンテナのロッテルダム−シンガポールの料金を試算すると、現行の搭載可能量6,800TEU/隻程度の大型コンテナ船から8,800TEU/隻の超大型コンテナ船へシフトすれば、12%のコスト削減が可能としている。更に12,500TEU/隻のコンテナ船へのシフトを行えば、たとえそれが二軸船であっても9%以上のコスト削減につながるとしている。

従来、搭載可能量9,000TEU/隻以上の大型コンテナ船が23knt以上で運航するためには、一軸船から二軸船への設計の大幅変更が必要となりイニシャルコスト及びランニングコストの大幅な増加につながると言われてきた。

 

 

 

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