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(9) その他の技術

帆走を補助に使う技術は、過去に何度か検討されてきた。

財団法人日本舶用機器開発協会22では、平成2年に1,600DWT内航貨物船、28,000DWTバルクキャリア型を対象に、近代帆走装置による風力の利用の他に、船体風圧抵抗の減少、主機関C重油燃焼の低負荷域拡大、推進効率の向上及び最適プロペラの採用、推進抵抗の減少、船殻重量の減少、艤装品の軽量化の対策を施した超省エネ船の概念設計を行った。その結果、設計上は貨物船で約41%、バルクキャリアで約34%の輸送エネルギー効率の向上が得られると予測した。またデンマーク環境エネルギー省においても、1995年から50,000DWTクラスの外航商船への適用を目標にして同様の帆走補助技術の研究が進められている。試算においては建造コストは10%程度増大するものの、航路や速力の選択如何では25〜50%の燃料消費量削減効果が得られるとされている。

荒天時の安全対策や軽量帆材の実用化などを含めて実用化には課題が多いが、気象海象予測の進歩に併せた帆走補助航法の開発や上部構造物が大きな船舶の揺動の研究も含め、今後のさらなる開発が必要であろう。

 

22 高性能近代帆装商船の設計(1990年)財団法人 日本舶用機器開発協会

 

 

 

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