バルカーの輸送する貨物については、表1.2-1に示したように、鉄鉱石及び石炭、穀物、ボーキサイト、リン鉱石といった荷種に細分されている。また、4章の将来予測に示すように、荷種ごとに輸送量の将来の伸びが異なると考えられるため、バルカーとして一括して扱うのでなく、できるだけ荷種毎に計算を行うことが適切である。一方で、統計上はどのバルカーが何を輸送したかは明確でなく、上記荷種全てを細分して計算することは困難である。そこで、現状で利用可能なデータ、パラメータを整理した結果、鉄鉱石輸送、石炭輸送、その他のバルクカーゴ輸送に区分して計算することが適切であると考えられた。以下の記述においては、バルカー全体として整理すべきものはそれとした上で、上記3区分での燃料消費量の算出過程を概説する。
(1) 鉄鉱石及び石炭、その他のバルクカーゴ輸送に従事する隻数
上述のように、鉄鉱石、石炭輸送、その他のバルクカーゴ輸送にそれぞれ関わるバルカーの比率を示す詳細な資料はないが、20万DWT以上のバルカーは全て、日本船舶明細書においては鉄鉱石運搬船と分類・記載されていることから、世界中のこのクラスのバルカーは全て鉄鉱石運搬船であると仮定した。20万DWT未満の船では、輸送総量(TRijk)、積荷率(αijk)を考慮し、全バルカーの内、鉄鉱石輸送に従事するものを36%、石炭の輸送に従事する船を50%、その他のバルクカーゴ輸送に従事する船を14%とした。