そのときは「こんなに辛いのに、どうして僕の気持ちをわかってくれないんだろう。」という思いで一杯でしたが、今考えるとこうした両親の毅然とした態度が僕を支え続けてくれたのだと思います。
この両親の励ましがきっかけで、「辛いのは僕だけではない、皆も耐えているんだ。一緒にがんばらなくては。」と心に言い聞かせ、前向きに取り組めるようになりました。
そして、徐々によい成績をあげることができはじめ、各大会で入賞したり、級を取得したり、目に見える形で自分の力の進歩がわかるようになりました。それがうれしかったこともありますが、僕が中学校でも剣道を続けることができたのは、何よりも自分自身の心の成長を感じることができたからです。
中学校に入り、迷わず剣道部に入部しました。
中学校の剣道は、小学校の時とは違って、力と速さの点で比べものにならない厳しさがありましたが、僕はこの厳しい稽古に立ち向っていく決心をしたのです。この決心は、剣道からもっと多くのことを学び、どこまで自分を高めることができるのか挑戦してみたかったからです。しかし、中学校生活は学級活動・生徒会活動・部活動と忙しく、一生懸命に取り組めば取り組むほど、剣道と勉強の両立は難しくて自分の決心がぐらつくこともありました。
しかし、厳しい態度で稽古にのぞみ、さらに剣道と勉強を両立させている先輩の姿を見て、自分も先輩のようになりたい、そして先輩を乗り越えるためには、自分の限界に挑戦したいと思い、夏の暑さ、冬の寒さの稽古に耐えてきました。
また、剣道を教わる中で、自分の戒めとなる多くの訓を学ぶことができました。特に心に刻まれているのは「克己」です。これは自分の弱い心にうち勝つという意味です。小・中学校と剣道を続けてきて、常に自分の弱い心との闘いでした。くじけそうになった時には、いつもこの訓を思い出すようにしました。剣道の時だけでなく、勉強を投げ出したくなった時にもこの言葉を思い出してがんばりました。そのせいか、次第に勉強にも自信がついてきました。また「礼節」ということも剣道を通して身につけた大切なことの一ツです。毎日の稽古の中で礼法についても厳しく言われ、そのおかげで日常生活の中で、自然に丁寧な言葉づかいや態度がとれるようになりました。これも剣道で鍛えられたおかげです。
このほかにも、僕たちの剣道少年団では、警察署管内の剣道少年団合宿研修や少年の集いに参加したり、また、清掃奉仕活動に参加して、剣道で身につけたことを少しでも役立てる活動も行ってきました。
僕の中学校生活はあと数ヶ月となりました、今日まで指導していただいた先生、挫折しそうになるたびに励まし支えてくれた両親、時には厳しく、時には優しかった先輩、苦労を共にしてきた友達の友情に感謝し、これから先も、僕の心に「剣道は大切なもの」として生き続けることでしょう。