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第二十二回日本剣道少年団研修会(体験・実践発表)

最優秀賞者作品

 

期日 平成十二年二月二十七日(日)

場所 日本青年館

 

「私の限界」

 

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岐阜県羽島郡

悟道館後藤道場

小学六年生

亀水千鶴

 

「自分の限界までやってみろ。」

とけいこ場に先生の声がひびきわたることがある。つらいけいこに、自分自身が自分の力を全て出しきらないでかかっていく時、いつも同じことを言われます。

みなさんは、自分の限界がどれくらいかわかりますか。私はだれもが自分の限界を知ることはできないと思います。剣道歴三年半。悟道館後藤道場へ通い始めてから、剣道を通してたくさんのことを教わりました。『限界』という言葉は今の私には大きな二文字となりました。

今年、私たちと先生の間には一つの約束がありました。どうしても優勝しなければならない大会があったのです。その大会にむけてけいこにはげむのはもちろんですが道場の子、お母さん方全員で優勝への願いを込めながら千羽鶴をつくり神社へ参拝に出かけたりしました。試合に出るのは、限られた人数ですが道場の子全員で戦う思いでいっぱいでした。

「何をしてるんだ。」

という大声とともに『ドン』というにぶい音がした。大会を次の日にひかえ、選手全員がピリピリしている中、先生は必死だった。懸命だった。右手を痛そうにかばいながらも練習はつづけられた。練習後、骨折されていることを知り私はおどろきで体がふるえた。帰りの車の中で私は

「先生への優勝の気は、骨折した手の骨からきっと私たちの体の中へとびちってきているにちがいない。先生の気をもらってがんばるしかない。」

と思いました。当日、私は今まで自分に感じたことのない気につつまれていた。結果は準優勝でしたが、全員が次につなげられるよう無心で戦った。くいはなかった。私はこの時の先生の白い包帯となみだを千羽鶴とともに忘れることはできません。先生は自分が手本となり限界までがんばる姿を私たちに示して下さったのだと思います。その後、あこがれの武道館での全国大会で三回戦まで勝ち上がれたのも、きっと自分たちの力を信じて限界まで戦った結果だと思います。

 

 

 

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