日本財団 図書館


付録D

船長/水先人間の情報交換の問題点

 

安全委員会は、船長/水先人間の協議とそれに関連した問題点について、長い間、関心を払ってきた。安全委員会が調査した、船長/水先人の協議がうまく行かなかったことが事件の原因となったか、あるいは、原因に関与したととれる4件の海難から引き出した勧告の内容は、次に掲げる通りである。

安全勧告M-74-15

アフリカン・ネプチューンが、1972年11月7日にジョージア州ブランスウイックのシドニー・ラニーア橋に激突した事件の調査結果として、安全委員会は、コースト・ガードが、“遠洋区域航行船の全船長に、出入港時には水先人の操船計画を精しく調べること及び水先人の協力を得て、緊急事態での水先人の操船方法を知って、操船上の最悪事態に対応する方法を考えておくことを義務付けること及び船長が部下に対し、危険性の高い作業を優先させて実施するとの説明をするよう船長に義務付ける。”ことを勧告した。

コースト・ガードは、1975年7月8日これに返書を送った。その後、三通の返書を送り、提案された規則制定の通告書(NPRM)に、この要求を組み入れること及び文案を準備しているところであることを通知した。しかしながら、続く別事件での勧告が繰り返えされたところで、1981年4月14日にコースト・ガードは、この勧告に反対した。

安全勧告書M-77-33

1975年1月31日にペンシルバニア州マーカス・フックでエドガーM.クィーニィがコリントスと激突した事件の調査結果として、安全委員会は、コースト・ガードが、“船長と水先人との間であらかじめ協議を行い、航行中の重要な事態及びこれに関連した注意点について同意することを義務付けるよう、33CRF164.11(k)を改正する。”ことを勧告した。

コースト・ガードは、1978年4月13日に、船長/水先人の協議がいかなる操船方法に優先させることを求めたNPRMを準備中であるが、航行を始める前に、重要な事態及びこれに関連した注意点についての同意を義務付けることを、NPRMに書き込まないと返事した。その上、コースト・ガードは、この様な事態を認めることは、伝統的な船長/水先人の関係を損なう基であり、船長が船舶の安全に対して絶対的な責任を負う体制は堅持すべきものである、と述べている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION