2 目的
海難調査の目的は、将来の同種海難を防止することである。調査は、情報の収集及び解析並びに結論の導きだしによって調査中の海難の事実を明らかにし、並びに原因及び与因を確定するのである。理想的には、責任を決定し、又は非難を割り当てることは、海難調査の目的でありえない。しかしながら、調査当局は、調査結果から過失又は責任が推定されることを理由に原因の完全な報告を取り止めるべきではない。
3 適用
このコードは、国内法の範囲内で、その国の管轄下にある船舶に生じた海難において、一ヶ国以上の利害関係国が実質的な利害関係を有する海難又は海上インシデントの調査に適用する。
4 定義
このコードの適用上、
4.1 「海難」とは、次のいずれかをもたらした事象をいう。
.1 船舶の運用に起因し、又は関連した、人の死亡、又は重傷
.2 船舶の運用に起因し、又は関連した、船舶からの人の消失
.3 船舶の全損、推定全損又は放棄
.4 船舶への具体的な損害
.5 船舶の乗揚又は航行不能、若しくは衝突における船舶の関与
.6 船舶の運用に起因し又は関連した具体的な損害
.7 1隻又は複数隻の船舶の運用に起因し、又は関連する1隻又は複数隻の船舶の損害によってもたらされた環境への損害
4.2 「非常に重大な海難」とは、船舶の全損、人命の喪失、又は深刻な汚染を含む船舶の海難をいう。
4.3 「重大な海難」とは、非常に重大な海難とみなされない次の海難をいう。
.1 火災、爆発、乗揚、接触、荒天による損害、氷による損害、船体亀裂又は船体の欠陥の疑いなどの結果
.2 水面下の浸水、主機の作動不能、居住区の過大な破損等の不堪航をもたらす構造的損害
.3 汚染(量を問わない)
.4 引航又は陸上の救援を要する故障