注1:為替は1ドル=111円=1215ウォン、製造原価ベース、ロイヤルティーは日韓とも7%とする。
注2:VLCC用、大型コンテナ船用以外の主機の場合、両国間の製造原価格差は縮小すると考えられる。
試算の結果からは、全般に韓国の製造費用が日本に比べ低いと試算されるが、その中でも特に工費・間接費負担の格差が大きいと試算される。
次に、為替水準の変化により両国間の製造原価格差がどのように変化するかを見るために感度分析を実施した。それによると、現在の円/ドル・レートの場合、日韓の製造原価が均衡するのは、1ドル=約900ウォン、100円=約800ウォンとなる。また、1ドル=130円の円安シナリオ時の場合では、1ドル=約1,100ウォン、100円=約850ウォンで両国の製造原価が均衡する。即ち、現在の円ドルレートの下では、極端なウォン高にならない限り、両国間の大型エンジン製造格差は解消しない。他方、1ドル=130円の円安シナリオの場合は、現在の水準に比ベウォンがドルに対しやや高くなれば、両国の製造コストは均衡することとなる。言い換えれば、ウォンが円に対し現在より25%程度高くなると両国の製造コストは均衡することになる。
しかしながら、大幅な円安シナリオの蓋然性は高くないと思われる。また、ウォンドル・レートもウォン高圧力は強くない。従って、韓国に対する価格競争力回復のためには、日本の大型エンジンメーカーは、個別企業単位でのコストの低減や、業界集約化によるコスト競争力の大幅な向上が必要である。