日本財団 図書館


8. 韓国造船・舶用工業界の欧州・中国に対する見方

(1) 韓国大手造船企業の欧州製品に対する評価

韓国造船機資材工業協同組合統計によると、1999年における韓国舶用機器市場において13.7%が日本以外からの輸入品によって占められているが、そのほとんどは欧州からの輸入品であると見ることができる。

欧州製品の強みは、1)欧州船主が選好する、2)先端技術に強い、である。特に後者については、欧州ではエンドユーザーとメーカーの共同開発が盛んであり、エンジジアリング、モジュール製品で(日本製品より)優位にある、という指摘がなされている点が注目される。半面、弱みとしては、地理的に離れていることから迅速な対応が取りにくい、長期的な観点での価格交渉が難しい、といった点が指摘される。

また、欧州製品の価格は、全般に、韓国製品より高く、日本製品と同等ないしはやや安価(ユーロ安による)であるが、東欧や南欧製品はやや安価であり、また西欧製品の中にも韓国製品と遜色ない価格競争力を有する企業が存在している。

欧州企業の韓国における営業体制は、エージェントや連絡事務所を韓国に設置するケースが多い。この点では、日本企業も欧州企業に遜色はない。

日欧企業を比較すると、日本企業が韓国市場において価格競争に巻き込まれる傾向が強いのに対し、欧州企業は相対的に技術を中心にした差別化戦略を取っているということができる。また、日本企業が製品輸出で収益を得る傾向が強いのに対し、欧州企業は製品輸出と共に、技術供与に基づくライセンス料やKD生産に伴う部品輸出でも収益を獲得するといったように収益源が多様化している点も特徴である。

 

表:M社(韓国大手造船企業)の欧州製品評価

092-1.gif

資料:韓国現地インタビュー

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION