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2] 現代重工業の経営ビジョン

現代重工業は2010年を最終年度とする「ビジョン2010」を発表している3。同ビジョンでは売上高を1999年6.3兆ウォン(実績)から2010年に30兆ウォンと5倍にすることを目標に、従業員数の拡大(現在の2.7万人から2010年4万人に)、生産拠点数・海外支社・研究所の増設を目指している。事業別には非造船部門の強化が大きな柱となっている。全社売上高に占める造船部門売上高の比率を99年の58%から2010年に24%にまで引き下げることを狙っており、特に、海洋、重装備、重電機部門の強化を目標に掲げている。同時に、2010年に売上高比率8%に成長すると見込んでいる新規事業として、インターネットや電子商取引といった情報通信事業の育成に注力する予定となっている。造船部門は全社売上高比率は低下するものの、売上高自体は2010年には7.3兆ウォンと、99年の2.1倍の水準に拡大することを目指している。また、エンジン部門も99年の0.4兆ウォンから2010年には3兆ウォンと大幅に拡大することを目指している。そのために、2010年までに累計で、全社で7兆ウォン、うち、造船部門1兆4,900億ウォン、エンジン部門に1兆300億ウォンを投資することを明らかにしている。4

造船分野では、2010年に一般商船・ケミカル船・特殊船で世界第1位を達成するとともに、新たな分野である客船でも世界第3位になることを目標としている。また、エンジン分野では、2010年に大型エンジン世界第1位、中型エンジン世界第2位と、大型エンジンのみならず中型エンジンでも規模を大幅に拡大することを目指している。

 

3 現地調査時の現代重工業でのインタビューの際にも、「ビジョン2010」に関する標語が目に付き、また、将来計画については全て「ビジョン2010」に基づいていると回答するなど、非常に重要視されている模様である。

4 エンジン以外の主要舶用機器の中では、従来、エンジン部品と並び供給不足が深刻であった大型コンテナ船用プロペラの生産設備能力を2000年6月に増強している。

 

 

 

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