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株主資本比率は、1990年代半ばを通じて全般に減少傾向にあったが、現代重工業、三星重工業は、1998年以降、不動産売却、有価証券処分で借入金償還を図ったため、株主資本比率は上昇している。半面、経営破綻した三湖重工業は従来から大幅な債務超過で推移していたほか、グループ破綻で1999年に大幅な投資有価証券減額損失を計上した大宇重工業も一気に債務超過に転落した。

 

図:株主資本比率の推移

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5] 企業別財務構造評価

企業別に財務構造を評価すると次表のようになる。相対的に見た場合、財務内容が良好なのは、現代重工業、韓進重工業である。三星重工業は、金利負担等のため売上高当期利益率が低く、また、不安定であることが問題であるが、財務の安全性は資産圧縮等により向上した。半面、大宇重工業は、従来はある程度良好であったものの、大宇グループ全体の経営破綻の影響で、有価証券評価損が発生し、一気に債務超過に転落した。バランスシート悪化の原因が、造船事業と言うより、グループ経営の破綻にあったために、大宇重工業から分離された大宇造船工業の業績は、売上総利益率が改善されれば順調に回復すると見られる。三湖重工業は、あらゆる面で財務構造が著しく劣っており、従来からグループの支援がなければ倒産を免れない状況にあった。結局、漢拏グループの破綻により、経営が行き詰まりを見せてしまった。現代重工業による委託経営を受け、将来的には吸収される可能性もあるが、そのことは現代重工業にとって負担となる可能性もある。

 

 

 

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