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公共部門については、引き続き、政府系企業の民営化を進める予定となっている。

金融改革に関しては、大宇グループや現代建設を始めとする現代グループの一部企業の経営行き詰まりもあって、依然として金融機関が抱える不良債権問題が残されている。2000年9月には、ハンビット、朝興、外換、平和、光州、済州の6銀行が総額で5兆ウォンを越す公的資金追加要請を行ったが、不良債権問題処理には、なおコストと時間がかかる見込みである。このため、企業体力強化のためのさらなる銀行間合併も取り沙汰されている。

企業改革に関して、韓国政府は2000年9月に「2次企業・金融構造調整推進計画」を発表している。その中で、政府は再び、負債比率(負債/株主資本比率)200%の達成を求めると共に、未達成企業については、条件付で金融機関との与信取引約款を適用し、さらには、改善効果のない企業に対しては、ワークアウト、法定管理、企業精算を睨んだかたちで、締め付けを図る方針を明らかにしている。

また、ワークアウト制度は、1997年に導入されて以来、104杜の企業に適用され、うち2000年9月末現在で59杜が早期終了ないしは撤退により対象からはずれ、現在45社が対象となっている。韓国政府は「2次構造調整計画」の中で2000年末までにワークアウトに一段落させる計画を発表しており、また、銀行再建団もワークアウト企業により発生した損失に対する公的資金導入が年末までとなっていることから、ワークアウト対象企業に対する支援に慎重になり始めている。そのため、ワークアウト対象企業のうち、存続可能な企業と存続困難な企業の峻別が引き続き進められることとなる。特に、大宇系列企業の場合、最も先行すると期待されていた大宇自動車の処理が長引いており、全般的に処理が遅延している。

さらに、労働部門に関しては、中長期的な課題として、労働市場の流動性確保や週休2日制の導入が計画されている。

 

 

 

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