要約
I. 韓国経済の現状と今後の展望
■韓国のマクロ経済
・韓国は、1997年末に通貨危機に見舞われた。通貨危機の背景として、1)国内的には供給過剰問題、2)対外的にはタイの通貨危機の波及、がそれぞれ指摘できる。
・韓国経済は、経済危機に陥ったアジア諸国の中で最も早い回復を見せた。在庫投資、輸出、民間最終消費、さらに最近では企業の設備投資が経済の牽引役となっている。但し、ここへ来て、原油価格上昇、金融機関の不良債権問題が浮上しており、短期的な経済の不安材料となっている。
・最近、ウォンレートは、安定的に推移してきたが、2000年11月になって急速なウォン安を示した。しかしながら、このようなウォン安傾向が今後も続くという向きは少なく、現状程度ないしは緩やかなウォン高に向うものと見られている。ウォン高の場合でも、短期的には、1ドル=1000ウォンを上回るという見方は極めて少ない。
■韓国の経済改革
・韓国政府は、経済危機を受け、政府、金融、企業、労働の4部門の構造改革を進めてきた。
・企業部門の改革で象徴的であったのが、ビッグディール(業種別事業交換)である。ビッグディールの一環で、船舶用エンジンは企業統合が行われた。
・韓国政府は、4部門の改革、とりわけ、金融、企業部門の改革を2000年末までに段落させることを目指している。しかしながら、残された課題は、依然として多い。
II. 韓国造船業の現状と競争力
■現況
・韓国は、日本に匹敵する造船国に成長した。受注シェアでは、1999年に日本を抜き、世界第1位となっており、その勢いは2000年も続いている。日韓造船業は、本格的な競争の時代に突入した。
・韓国造船業の特徴の1つは、大手企業への集中度が高い点である。その結果、韓国の大手3社の1社当たり建造量は、日本の大手造船所を大きく凌駕している。