3.2 講演会資料
3.2.1 内航船舶と情報化
(1) 講演概要
内航海運業界の実情を、内航船員数の推移予測や要救助海難の種類別隻数の推移、あるいは高度情報化の採用可能トン数等の豊富なデータを基に紹介され、それらに内包される内航船の問題点、高度情報化の必要性について解説があった。また内航船舶の近代化・情報化事例として、「日丹丸」における船内業務システム等の整備状況についてビデオを用いて紹介された。
内航船の問題点については、船員の高齢化、キーボードアレルギー等の情報リテラシーの問題、また市販パソコンで十分であるはずの情報機器が“舶用機器”と名を代えるや高額機器となり、十分な設備投資もままならない状況を憂う一方で、それでも情報化は不可欠であり、かつてのレーダ装備がそうであったように情報化のためのツールは無理にでも与える必要があり、それを使いこなせるスーパーインテンデント(SI)の育成が重要である、との主張が非常に興味深く聞くところであった。
「日丹丸」の船内業務システムでは、船用品の在庫管理をはじめ、機関室にモニタを設置して舶用機器類の状況を集中管理する等が行われ、また他のシステムとしてECDIS、オートパイロット、荷役自動化システムも装備されている状況が紹介された。
本講演を通じて最も強調されていた点は、機関故障、推進器故障といった何らかの舶用機器を要因とする要救助海難事故数が、近年少しずつ増えてきている実情についてであった。また講師は上記に対する有効な手段として情報技術を活用した予防保全が重要との考えをもち、舶用メーカに対してより一層のアフターサービスの充実を促すとともに、具体的なアドバイスとして、2,000G/T以上の内航船舶から情報化を進めて段階的に400〜1,999G/Tの船舶をも対象にすれば、内航船舶約2,700隻のマーケットが存在することを指摘されている。
(2) 講演会資料
当日の講演資料を次ページ以降に示す。