4 高度情報化によるアフターサービス体系の概念設計
4.1 高度情報化アフターサービスの方向性
本節では、現状のアフターサービス関連業務の実態や特徴、およびアフターサービス実験結果を踏まえての、高度情報化アフターサービス体系の具体化(概念設計)の方向性について検討を行った。
(1) SIのサポート
これまでに明らかになってきたように、船-舶間のアフターサービス関連業務は、船社・船舶管理会社のスーパーインテンデント(以降SI)を中心に展開されている。したがって、SIがリードする様々な業務に沿って、その局面毎に高度情報化の適用による効率化、正確化等の効果を狙うのが妥当な考え方であり、本概念設計においても、それに基づき内容を検討することにする。
実態調査のヒアリングにおいても、船社・船舶管理会社の担当者から「我々の認識はアフターサービスサポートシステム≒SIサポートシステムである」との指摘も受けた。
SIが行う業務の局面を考えると、「2.4.1現状業務の特徴」に示したように以下に区分に整理できる。右側に、“ネット”と“リアル”とマークしているのは、業務の局面のうち、アフターサービスのプレーヤ間での情報交換(電話・FAX・電子メール・文書交換による、連絡・調整・交渉等)を示す局面を“ネット”、実際に物理的なモノが動く(部品を搬入する)、ヒトが動く(工事を実施する)局面を“リアル”と表現して、大別したものである。
1] 部品交換、工事実施方法の判断 “ネット”
2] 部品交換、工事実施の手配
2]-1 部品交換、工事の手配先の選択 “ネット”
2]-2 部品交換、工事の手配(受発注) “ネット”
3] 部品交換・工事の実施
3]-1 部品交換、工事実施 “リアル”
3]-2 実施状況の把握、進捗管理 “ネット”
4] 支払い、精算 “ネット”
5] 部品交換、工事記録の履歴管理 “ネット”
高度情報化アフターサービスは、インターネットに代表される情報通信技術の活用を意図していることから、“ネット”の業務を、文字通りネットワークで支援する(ネットワーク上に移行させる)ことが基本的内容となる。