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3.5.4 実験対象にはならなかった情報コンテンツの種類、IT機能等

 

船社回答とメーカ回答を対比させながら、今回の実験対象にはならなかった情報コンテンツの種類、IT機能等についての整理・考察結果を以下に示す。

 

(設問内容)

1) 自社にとって必要とする、舶用機器に関わる情報コンテンツ、その用途

2) 様々なIT機能の必要性評価

3) その他

 

(整理・考察)

・互いに必要とする情報コンテンツを聞く設問では、船社・船舶管理会社側では緊急時に備えるための情報に集約されている。事故を起こさないための事前情報(故障事例、故障情報等)、あるいは万が一に起こった時に迅速に対応するための情報(在庫状況等)である。

・各機種の故障情報の開示は積年の課題であって、商慣習的あるいは精神的な障壁がいまだ残る現状では一朝一夕に実行に移すことは難しい。しかし、在庫情報についでSIがいちいちメーカに問い合わせることなく簡易に見られることへのニーズが実際にあることは、メーカ側も認識すべきである。後述のメーカ側の営業計画と同様に、SI側も保守計画作成の上で必要な情報なのである。

・一方、舶用メーカ側が求める情報は、稼働する機器の現況情報(性能トレンド等)、履歴情報(部品交換履歴、運転時間等)に集約される。これらは、舶用メーカ側も受け身の営業ではない提案営業促進への体質改善を図りつつある状況を示している。

・船社・船舶管理会社側では、メーカ側に対して“知ってどうする”との意識であったり、またメーカ以外の部品交換についての情報を開示することに抵抗があるよう見受けられるが、取引関係上からいってメーカ側がクレームをつけるわけはなく、常に正確な機器の状況をメーカと共有することについて弊害をもたらすことはないと思われる。何より、万が一に事故が起こった時に迅速に対応するために非常に有効である。

 

・互いが求める情報を交換し、情報を共有することに仮に合意ができても、その簡易な手段が無ければ実践することはできない。いちいち電子メールやFAX等で教え合うことは現実的ではない。今回のサービス実験では、各船毎にホームページを用意し、そこで様々な情報を共有する仕掛けを用いたが、船社・船舶管理会社側および舶用メーカ側の各々で賛否両論の結果となった。

 

 

 

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