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検討に当たっては、船陸間運用システムの代表であるFMSをモデルとし条件設定を行ったが、最近のEDIなど、ネットワーク利用の情報流通システムは世界的規模になっており、また、船陸の区別も無くなりつつある現状を踏まえ、情報技術に関する調査は陸上技術を中心に行った。

船陸間通信システムは、船陸共通な運用の要であるが、現在のところ移動体である船舶等へのアクセスは無線(一部は光)による手段しかなく、また長距離、高速、大容量の通信となると衛星通信が不可欠となってくる。現在打ち上げられている通信衛星の数は限られており、通信費など運用コストの面では多少の問題はあるが、技術的に実現不可能ではないので、船陸間通信システムは衛星通信を前提とした。

船陸間通信システムを透過的なものと考えると、船陸を含む異システム間の相互接続性を確保するためにはネットワーク接続技術を確立することが必須条件となる。

一方、船内には航海支援システム、機関監視システムや船内業務管理システムなど、ネットワーク環境の異なる(情報)システムが存在する。従って、船外とのネットワーク接続技術を確立するだけでなく、これらを総合的に結びつける共通のインタフェースも必要である。

しかし、船内及び船陸システム間の共通インタフェースの標準が定義されていないため、異システム間の相互接続を実現することが困難となっている。

本調査研究では、欧米及びわが国のプロジェクトにおける異システム間の相互接続性について資料調査、専門家との意見交換等による調査と、陸上分野におけるネットワーク関連のシステム技術及びAPI技術の現状及び将来動向も合わせて調査した。

これらの結果を総合評価して、異システム間相互接続インタフェース標準を定義するための要件をまとめた。

更に、これを基に現在ISOで審議中の国際標準案に対する見解を整理し、日本意見として申し出ることができた。

 

4.2 今後の課題

将来は利用者の利便性を確保出来るように、異システム間相互接続インタフェース標準に基づいたAPIを作成し、業界標準として普及させることを目標としている。ただし、APIについてはFMSN上での各種業務サービスまで踏み込むことが期待されており、関連サービス及びデータの標準化(国際標準化)、テンプレート化を順次、段階的に進めて行く必要がある。その意味で早期に標準的なAPIを開発し、代表的な2〜3のFMSN利用システムを構築し、将来展開のフレームとなるAPI技術の検証と利用技術の実験検討に着手する必要がある。

*なお、本調査研究は、(財)日本船舶標準協会の関係委員会の協力を得て実施した。また、関連諸団体からも多くの情報や貴重な助言を頂いた。

 

 

 

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