フリートマネジメントシステムネットワークの異システム間相互接続性に関する調査研究
寺崎電気産業株式会社
1. 調査研究の目的
欧米の標準化団体(ASTM、EMSA等)は、それぞれ独自に船舶のライフサイクルサポート、フリートマネジメントシステム等に関する標準化案を作成し、そのうち、米国は、ASTM標準を基にしたものをISOに国際標準案(*1)として提案している。この国際標準案では船内及び船陸間通信がインフラストラクチャーとして重要な位置を占めている。通信システムにおいては異システム間の相互接続性を確保することが必須の条件となるが、前記標準案では詳細な定義がなされていないため、異システム間の相互接続を実現することに困難が予測される。
前記標準案を実効性のあるものにするため、船内及び船陸間通信をその基盤とするフリートマネジメントシステムネットワークにおける異システム間相互接続技術を確立することが重要である。異システム間相互接続において必須条件となるものは、OSI階層モデルで示される各階層のプロトコル、プログラムインタフェース及びデータの共通化であるが、本調査研究では、これらの部分を広義のAPI(*2)ととらえ、これらに対する調査研究を行った。
*1:"Standard Guide for Implementation of a Fleet Management System Network"(ISO/CD15849)
*2:API:Application Program Interface(システムの上で実行するアプリケーションの利用可能環境を提供するインタフェース)
2. 実施経過
2.1 実施項目
本調査研究は、欧米及びわが国におけるAPI技術の現状・将来動向を調査・評価するとともに調査結果を基にして国際標準案(*1)に対応できる要求仕様を作成することを目標とした。実施項目は以下の項目である。
1) API技術の現状及び将来動向調査
船舶のライフサイクルサポート、フリートマネジメントシステム等に関連する欧米及びわが国のプロジェクトにおいて採用又は計画されているAPI技術について資料調査、意見交換等を行うことにより調査を行うとともに船舶以外の分野におけるAPI技術の現状及び将来動向もあわせて調査した。
2) 調査結果の評価及び検討
1)の調査結果を基にAPI技術に対する評価・検討を行った。