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なお、本実験で用いる膜材は、上記の実験で用いたものと同一であり、インナーカバー及びアウターカバーは用いていない。

実験は図6に示すようにオイルカーテンにおいて隣り合う膜材の一方の表面にフックのマジックテープを、も一方の裏面にループのマジックテープを取り付け、両者が重なり合うように両ユニットに上下の段差を設けて船体に取り付けたことをモデル化したものと、図7に示すように隣り合う膜材同士はラップさせず、両者とも表面にフックのマジックテープを取り付け、それらの両者のマジックテープ部を覆うように裏面にループのマジックテープを取り付けた膜材を取り付けることをモデル化したものの2ケースを行なった。

両実験ともマジックテープは強固に接着した。特に、接続後の膜材の両端を引張ったり、前後左右に激しく波打たせたりしても膜材同士が分離するようなこともなかった。これらの接続状態を写真11と写真12に示す。写真11の場合、蛇腹式収納された膜材が互いにぶつかりながら落下するために膜材の上部端部から下端部にかけて不規則な形で膜材同士が連結している。実験中の観察では、一度接触して連結しあったマジックテープはその時点で強固に接着するために、再びその連結状態が変わることはない。すなわち、写真11の中央部やや下方に見られるように、連結箇所に穴のあいた形で接続されると膜材を激しくゆすってもその状態を変えることはできないこととなる。写真12の場合は、上部に巻き上げられた膜材が、予め敷かれている膜材の表面を接着しながら転がり落ちるという状態で展張されるため、穴やしわの少ない接続状態が実現された。これはオイルカーテンとしてより好ましい状態であったと考えられる。

 

4. 調査研究の成果

本調査研究で得られた成果の概要を以下に記す。

1) 海水の塩分の結晶硬化が生じても膜材の自由落下が阻害されることがないようにするには十分なウェイトが必要と考えられる。

2) アウターカバーを支持するハーフパイプを有する構造とすることで、インナーカバーの機能にアウターカバーの波力による破損を防止する機能を付加することができる。

3) 一つのユニットの長さは、膜材の収納や現地への搬入を考慮すると10〜30m程度が妥当と考えられる。

4) アウターカバーの開閉機構は本調査研究で用いたピン式を用いると簡便である。

5) アウターカバーの構造は、膜材の自由落下を妨げる突起や張り出し部のないものが必要である。

6) 船体のコーナー部や鋭角部に取り付けるオイルカーテンの収納方法は、直線部と同じとすると膜材の落下を妨げるので、異なる収納方法を検討する必要がある。

7) 展張された膜材の状態は、コーナー部においても直線部とのあまり変わらない。

8) ユニット間の膜材の連結は、マジックテープにより行えると考えられる。

 

5. 実用面での今後の検討項目

今後検討しなければならない項目を以下に示す。

1) 船体曲線部に対応した収納方法とアウターカバーの検討。

 

 

 

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