3.3 アウターカバーの最適設計
3.3.1 アウターカバーの構造
オイルカーテンの使用条件は、長期保管と緊急展張の2点にあると考えられる。そこで、前述した構造を持つインナーカバーの中に収められたオイルカーテンをFRP製の外殻に収める2重構造とした。図2にアウターカバーの構造を示す。
3.3.2 アウターカバーの開閉機構
オイルカーテンが船舶で用いる緊急装置であることを考えると、理想的には完全に自動化された操作方法と完全に人力化された作業方法の二系統を有することが望ましいが、本研究では最も基本となる人力による手動開閉機構を2種類(パッチン錠式とピン式)検討した。以下に各々の機構を示す。
(パッチン錠式開閉機構)
図3にパッチン錠式の開閉機構を示す。錠を解除することでカバーが自重により下方に開く構造とした。
(ピン式)
図4にピン式の開閉機構を示す。この方法は、アウターカバー背面のピンを引き抜くと、ばねの伸び解除され、このばねに連結されていた開放部を個縛しているロープが解除され、アウターカバーを開く構造である。
3.4 長尺ユニットの製作方法の検討
実際のオイルカーテンを考えた場合、1枚の膜材で船体の全周を取り巻くことは不可能である。そこで、膜材同士の接続箇所の少数化等の観点からユニットを長尺化した方が有利と考えられる。アウターカバーと内部の膜材を現地で合体させることを想定すれば、膜材を蛇腹に折り曲げて収納する作業性やアウターカバーを現地まで搬送するための輸送性を考えると、膜材の長さは10〜30m程度とし、これに対して長さ10m程度のアウターカバーを1〜3基取り付けたものを1ユニットとすることが適当と考えられる。
3.5 インナーカバー及びアウターカバーの試作
試作したオイルカーテンの諸元を表2に示す。なお、本オイルカーテンでは、重錘として金属製のハーフパイプを用いると実験場所として借用した施設を傷つけることが懸念されたため、ハーフパイプは塩化ビニルによる摸擬パイプとし、重錘そのものはチェーンを用いた。