4) 解析結果の考察
1] ソリッドシールの反力は、Uタイトシールの約1/3である。
2] 低膨張材料シール機構は、従来シール機構の30%(ソリッドシール)〜10%(Uタイトシール)反力を増加させる。
3] Uタイトシールの2つのシール接触部の変位量に大きな差が見られる。即ちシールの当りが均一でなくシール性が不安定である。反力曲線において3回繰り返しの曲線が異なることから推測される。
4. 調査研究の成果
1) 低膨張材料シール機構が高いシール性能を与えることが判明した。
2) シールのソリッドシールとUタイトシールの性能の差異が明らかになり、Uタイトシール機構を構築して実用化に有効であることを実証した。
3) ソリッドシールの実用化に対する改善ポイントが判明して将来の実用化への指針となった。
5. 実用面での今後の検討項目
今回構築したUタイトシール機構は、FEM解析にもあるように2つのシールの接触に差異があることから、シール性能向上には次の改造と実証試験が必要である。
1) 弁体シール面の曲率がUタイトシールの2点の接触部に同等に当るように設計変更が必要である。
2) より小さい線膨張係数が得られる低膨張材料(インバー鋳物)の調査と実用化。今回製作したインバー鋳物が出すべき最小のα値が出なかった原因を追求して改善することで達成可能と考える。
3) ソリッドシール機構は、今回の調査においてUタイトシールより低いシール性(反力)を持つことが判明した。しかし高いシール性を与える構造及び形状を構築すれば、低膨張材料を適用した高性能シールを開発することが期待出来る。
4) インバー鋼の実用化には、コストダウンを図ることが重要である。
なお、本調査調査研究の一部専門事項については、大同特殊鋼(株)築地工場殿及び(株)メカニカル・デザイン・アンド・アナリシスの協力を得て実施した。