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3.3 低膨張材料弁体とシールの製作

ステンレスインバー(TN 915)及びAlloy 365相当材(TN 916)により低膨張材弁体の製作を行い次の事項について確認調査を行った。

1] インバー弁体の機械加工性

機械加工担当者からSCSと比較して材料が少し粘いとの報告があったが、特に加工要領の変更等問題になるような事項の報告はなかった。

2] 溶接性

弁体鋳物そのもので溶接補修するような欠陥がでなかったため報告する事項は無い。但し、当杜において溶接試験を実施して溶接部のミクロ写真撮影を行ったが、共材溶接における欠陥の問題のないことが判った。

3] 弁体シール面のCrメッキ施行の確認

TN 915及びTN 916の2種類の鋳物のCrメッキをシール面に施行したが、メッキメーカーのノウハウとしてSCS弁体の施行要領の一部を変更することで問題無く正常なメッキ付着状態が得られた。特にSCSに比較して容易であることはなく、メッキメーカーの実績ノウハウによるところ大であった。

4] 深冷処理

弁体を液体窒素の中に浸漬して金属組織変化の有無を調査した。予想していなかったマルテンサイト変態(?)による膨出がTN 915に発生、弁体のシール面が波打って平滑な面を失ってしまった。従って、このTN 915弁体はシール性能試験に掛けられないことになった。幸いTN 916には異常が無いため性能試験が実施出来た。

但し、TN 915の今後の課題として再度深冷処理を実施して組織の安定化が図れたら、再度メッキを施行してシール性能試験に使用する予定である。

5] その他

低膨張材料シールの製作及び性能試験は最初に述べたようにUタイトシールの実用化を優先する為、将来の開発事項とした。

その対象は、ソリッドシールで高圧用途を目指す予定である。Uタイトシールは、その構造上150 LB仕様(常用)が限度である。

 

3.4 低膨張材シール機構の性能試験

低膨張材料弁体とUタイトシールから構成されるシール機構において、目標とするシール性能の達成が可能か否か試験を実施した。

1) 試験装置

弁本体型式:150 LB、RFフランジ型

弁本体口径:8B及び16B(但し、16BはTN 915でのみ製作のため不採用)

弁本体試験圧力:耐圧3MPaG(30kg/cm2G)、気密2.2MPaG(22kg/cm2G)

流体流れ方向:正流、逆流の両方向

2) 試験システム

シール性能を確認するための試験システムを図4に示す。

 

 

 

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