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【事例報告】

河辺林を活動の場に新しい住民運動を目指して

遊林会:武藤精蔵(滋賀県 八日市市)

 

今森光彦氏の写真集はあまりにも有名で、湖国の里山の美しさをみんなが知るようになったのですが、写真で見るときれいやけどなぁ…、あるいは、あれは湖西の方のことや、ここらとは関係ないわというのが周りの人の正直な感想のようです。滋賀には、量としてみれば緑の塊としての里山は未だ幸いに多く残されていますが、質を問えば今森氏の感性によって切り取られたような里山はやはりごく一部です。

 

私たちは淀川水系の上流、滋賀県湖東地方の鈴鹿山脈から琵琶湖に注ぐ愛知川に沿って発達していた河辺林を当面の活動の場にしています。愛知川が平野部に出たところから琵琶湖岸まで両岸に発達していた河辺林も水田開発、砂利採集、運動施設等の整備、廃棄物処理場、住宅地などに利用され途切れ途切れで、川に沿って500m、幅300mの高低差のほとんどない活動の場は残された河辺林の中では今では最大のボリュームです。この森は近接する集落の個人がそれぞれ所有する土地の集合であり、全員の同意がなければ面として利用することができず開発の誘惑からも取り残され森であり続けたのですが、村人の経済活動からも取り残され、他の里山同様に荒れるに任されていました。

 

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