日本財団 図書館


保全協会では1993(平成5)年に環境事業団の地球環境基金の助成を受けて指導者の養成に取り組み、1996(平成8)年からは日本財団の補助活動として「里山管理指導者の養成」(講座)による人材の養成と「里山・公園管理プロジェクト」および「稲作生態系保全プロジェクト」を展開し、市民ボランティアの育成と中山間地の休耕田(棚田)を活用した生物復元研究に取り組み、大きな成果をあげてきました。これらの活動をベースに「地球環境市民大学校」(環境事業団委託)の開催や吹田市紫金山公園整備事業、岸和田市神於山里山事業、交野市里山ボランティア育成講座など、里山事業の立ち上げの応援や指導、講演・報告活動などにも精力的に取り組んでいます。これらの活動は概ね次の8項目に要約されます。

 

(1) 里山の保全に必要な理論と技術を身に付けた指導者(リーダー)の養成

(2) 子供から老人までの幅広い市民による環境ボランティアの育成

(3) 里山・田園環境における多様な生物・生態系の保全と復元のための研究

(4) 各地フィールドにおける里山・田園環境の保全活動の実践

(5) 各地のNGOや行政の「里山保全」活動への支援・指導

(6) 里山をキーワードとする国際交流活動への支援

(7) 関連他団体とのネットワークよる成果と情報の提供及び実践的交流活動

(8) 里山・田園環境の保全に関する環境計画、地域計画、及び条例づくりへの提案

 

21世紀は環境の世紀といわれています。20世紀に積み残してきた多くの課題を早期に解決し、市民一人一人が豊かさを実感できる暮らしを創造することが求められています。その一つは、身近に豊かな自然とくつろぎの場があることです。身近な公園緑地の少ない我が国では、里山を地域住民の「身近な自然」として確保し、市民のレクリエーションや子供たちの自然体験、自然学習の場として、また高齢化社会における“生きがい”や健康の維持などのために活用することが望まれます。また、我が国では市民の社会活動への参加は欧米諸国と比べて極めて未成熟であり、市民の余暇活動として、国や自治体の管理する「里山・田園型公園」や「自然公園」の一部を市民の参画と提案に基づいて整備するなど、より自然の豊かな市民に親しまれる公園づくりを行うことも大切です。私たちは21世紀の初頭にあたり、本シンポジウムを開催し、世代を越えて「夢」を現実の課題として語れる場にしたいと考えています。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION