1. 楽しみ方別里山タイプ
里山が「遊山」の場や自然探勝の場として優れ、レクリエーションや自然観察に適しているとはいえ、長い間放置されて密生状態にある現在の里山を、そのまま利用することはできません。私達が林間で楽しいひと時を過ごすには、間伐(間引き)や下刈り(柴刈り)などの管理を定期的にしなければならず、それには多くの人手が必要となります。
しかし、うまく管理してやれば、我国の重要な風土景観の一つである里山を保全しながら、そのまま質の高いレクリエーション林に転換できることが、既にこれまでの研究から確かめられています。たとえば、手入れされずに密生した里山では、光量不足のために種類数の減少や自生ツツジ類の立ち枯れが生じていますが、再び柴刈りをする時に、自生ツツジ類だけを残し、また高木も間引きして林の中を明るくしてやると、翌春には林の下(林床)で、一面のツツジの開花が楽しめます。
里山の楽しみかたは、先に挙げた里山の多様な役割を壊すことなく、両立するものでなければなりません。もち論、里山のすべてを楽しみやレクリエーション林として利用するというのではなく、利用できる区域や利用の程度を適切に決める必要があります。また、レクリエーション林区域とされた場所でも、野球やテニスのような球技や、噴水・花壇のような都市公園的なものを持ち込むのではなく、あくまで里山にふさわしく、里山だからこそ楽しめるような利用でないと、その意味を失ってしまいます。
ところで、里山の自然の楽しみ方にはどのようなものがあるでしょう。それは森林の構造や植生の差異、そして季節によっても異なるはずです。次ページの図は林内の植生の種類や高さと楽しみ方との対応を、代表的なものについて示したものです。