17] 西馬音内盆踊り。端縫いを着て踊る
西馬音内盆踊り
精霊迎えの盆踊りは、地方によって実に様々変化に富むが、そのものずばりの出現と思わせるのが秋田県羽後町の西馬音内(にしもない)盆踊りである。黒い彦三頭巾(ひこさずきん)を頭からすっぽりかぶり、目だけ出して踊るので、亡者踊りとも言う。歌詞は明るいのだが、ベテランが渋い声を張りあげ、陰々滅々の響で歌う。笛、太鼓がこれに和し、かがり火が怪しげな雰囲気をただよわせる。さらには、亡くなった祖母や母が、生前着ていた着物をほぐし、柄を選んで仕立て直した「端縫(はぬ)い」と呼ぶ着物を着て、編笠で顔をかくし踊りに参加する風習も残っている。
阿南町の念仏踊り
神仏習合の素朴な形態を伝える長野県阿南町の念仏踊りは、林松寺、熊野神社、大家宮下家の三カ所で踊られる。
長野県南端に位置し、天龍川に注ぐ和合川流域の集落。伝承では正慶二年(一三三三)宮下家の祖先がこの和合の谷に落ちのびて開拓、その後時代が進み落武者が集まり集落が形づくられてきた。