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(3) 貴重な段畑を活用し管理する

15) 耐乾性の強い薬草園として活用

渡名喜島の段畑は島の生活史を物語る大切な遺産である。段畑は石積みで構築され北は標高146mの西森頂上付近まで迫り、南はタカタンシ、義中の斜面等で確認できる。現在、段畑は放棄されているがそのまま埋もれさせるのではなく、一部においては島の厳しい生活文化を語り継ぐ歴史文化資源として認識し、ヤエヤマアオキ、タラノキ等、耐乾性の強い薬草園として有効利用を図ることとする。特に集落からの景観や定期船からの眺め等に配慮するとともに利用のしやすさ等も考慮に入れる必要がある。また、利用にあたっては地主の理解を得ておくことが前提条件である。

 

16) 非常用のイモ栽培園として活用

段畑の活用のあり方として、学校教育、社会教育活動に着目すると、毎年行われている好評の「収穫祭」を拡大して、かつての段畑利用の中心であったイモ栽培についても小中学生の農業体験教育の中に組み入れ継続させていくことの意義は大きい。このことは同時に危機管理における非常用食料の確保にもつながる島の生きた知恵ともなる。

 

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畑にニンニクを植える渡名喜村の農家の夫婦。ここのニンニク栽培面積は約90アールで、その年産額は8,000キロをこえる。

 

17) 伝統家屋の素材成育園として活用

段畑利用のもう一つの視点は伝統的集落景観を将来にわたって維持していくための素材育成園としての活用である。これは先に述べた方針1の遊休農地の活用で触れた「伝統家屋の素材苗床としての活用支援」と共通するものであり、遊休農地だけでなく段畑まで利用を広げて考えるものである。

 

 

 

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