2) 歴史的景観を活かす視点の設定
歴史的景観を活かす自然環境を考えるとき、その意味づけや役割・波及効果をある程度明確にして共通認識をもつことが大切である。
その際、意味づけや役割を住民及び行政といった島内の立場で考えることに加え、今後は増加することが想定される来訪者の視点にも配慮し整理しておくことが大切と推察される。
したがって、ここでは「住民」「行政」「来訪者」の3つの視点で、歴史的景観を活かす自然環境の意味づけや役割を整理することとする。
ア) 住民にとって
○暮らし(衣食住遊)と地域の植物との具体的な関わりが伝えられる
(食物利用、薬効利用、建材利用、燃料利用、美化修景の素材など)
○新たな働く場(起業、雇用)の創出が期待できる
(薬草畑としての利用、特産品の開発、地域の在来植栽の案内ガイド創出など)
○身近な本物の環境に対する認識と理解が深まり、郷土への愛着と誇りが高まる
(子どもや小中学生への課外教育、お年寄から子どもへの語り継ぎなど)
○多くのふれあいと交流により住民と来訪者との相互理解が深まる
○住民主体の意識の高い村づくりが期待できる
イ) 行政にとって
○風水害に強い環境共生型の島づくりに貢献できる
(海岸域、低地、段丘、山地での適切な緑地・保安林の回復)
○新たな特産品の開発が期待できる
(海の幸・山の幸の新たな特産品開発による村の認知度のアップ)
○我が国の特色ある個性的な島づくりがPRできる
(島の風土を感じさせる本物の植生、貴重な植生による個性的な島のPR)
○住民主体の意識の高い村づくりが期待できる
○渡名喜ファンやリピーターの増加につながる
ウ) 来訪者にとって
○島本来の植物にふれあえる発見と喜びがある
(他の島にはみられない、島全体が自然の野外博物館)