2) 歴史的景観の把握
1] 文化財分布
渡名喜島は、独特な自然・社会的環境から特色ある貴重な文化財が残されている。風光明媚な島ではあるが、リゾートなどの急速な開発がなされていないため、貴重な文化財、遺跡や集落は今なお多くが継承されている。そのなかでも、有形文化財については、村立歴史民俗資料館が地域文化の継承に寄与するだけでなく、来訪者に対して渡名喜村の歴史的背景や村民生活・文化などを紹介する場となっている。
集落内には現在、7ヶ所の埋蔵文化財が確認されており、そのなかで最古のものが東区に隣接する3千数百年前の東貝塚である。これよりあとのグスク時代の頃と推定されている里遺跡には「里殿」、「ヌン殿内」とよばれる拝殿があり、以前より村の信仰地となっている。現在でも、村をあげて行われる各伝統行事には、必ず拝みに来る場所で、村民の個人参りなどで訪れる者もおり、島の重要な聖域空間のひとつである。
主な指定文化財は、平成12年5月に国の選定を受けた伝統的集落をはじめ、村指定の「渡名喜番所跡、渡名喜小中学校跡のフクギ群」、古集落跡と考えられている「ヌーチュヌガー御嶽」がある。そのほかにも遺跡、美術工芸品、建造物、考古資料、有形文化財などが多く分布している(表2-3、図2-6)。