<地質>
渡名喜島の地質については、古生代後期ペルム紀(二畳紀)の堆積岩(渡名喜層群)を第三紀の火成岩が貫き、これらを更新世の海岸段丘がおおい、完新世の海浜堆積物がのるという層序になっている(表2-2)。渡名喜層群は渡名喜島南部の大部分と北部の一部や入砂島に分布しており、石灰岩、千枚岩、苦灰岩(ドロマイト)に大別され、古い地層と考えられている。
南部のナガバラ崎からグルクの崎にかけての南西海岸では千枚岩部層のほぼ全部が露出し、ナガバラ崎では、石灰岩に大型有孔虫やウミユリ、サンゴなどの化石が含まれている。渡名喜層の南部での主たる走向は北東ないし北北東で、中角度で北西側に傾斜している。
北部は西森を中心として、概ね均質な閃緑岩が分布している。閃緑岩は貫入した際、周辺の渡名喜層群の石灰岩などと、接触変成作用をおこしたために、再結晶・粗粒化し、大理石やざくろ石などのスカルンを形成している。
渡名喜島中央部の集落形成地は、第四紀完新世に堆積したサンゴ礁を構成する石灰質遺骸を大量に含んだ未固結の泥・砂・礫から構成されている。