3] 地勢
<地形>
渡名喜島の地形は、北部と南部の両側が標高140m〜180mの丘陵地で、この2つの山塊に挟まれた中央部のわずかな低地(海岸低地)に集落を形成している(図2-3、図2-4)。
北部は、北よりに位置する西森(ニシムイ・146.0m)が最も高く、全体的に緩やかな、丘陵(一部、台地・段丘域)であるが、東から北海岸にかけては急崖な地形となっており、所々小さな海浜域も見られる。北西部には海浜域が続いている。
南部は、島で最も高い大岳(ウータキ・176.1m)をはじめ義中山(ギチューヤマ・136.9m)、大本田(ウーンダ・165.3m)、ヲム(150.6m)など、北部に比べ起伏の多い複雑な丘陵地形で、いたるところでは奇岩が露出しており、独特な景観を形成している。特に島の南東部は最高約170m、長さ200mに及ぶ岩壁がそそり立ち、県内でも類のない岩壁規模を誇っている。同じ南東部には、海浜、砂丘域が、また南西部にも海浜域が見られる。
岩石のないところは以前、山の頂上近くまで耕作地として活用されており、段畑の跡が残っている。
この南北の山塊に挟まれた北よりの低地(海岸低地・海抜5m〜8m)に集落を形成している。渡名喜島は元来、北部と南部のふたつの山塊が独立した島で、その海峡を砂丘砂が堆積し、この低地が形成されたと考えられている。集落周辺には、ほ場や港の整備などの人工平坦地がみられる。
渡名喜島、入砂島ともに鹿児島の南部から台湾方面へつながる霧島火山帯に属し、両島周辺では、サンゴ礁の発達が比較的良好で、幅600m〜1,200mのイノー(礁湖)が島を取り巻いている。