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5] 棚からぼた餅はない・・各地の実情にあったまちづくりの展開

先進事例から学ぶにあたっては、「棚からぼた餅」のようにそのまま採用できるような事例は存在しない。各事例とも長い時間をかけて苦労して取り組まれており、日野町においてもじっくりと住民とともに進めていくことが大切であろう。

 

2) 適応を考えたいメニュー

1] 企業メセナを中心としたまちづくりの展開(栃木市、長浜市)

まちづくりを都市経営の一環としてとらえようとする動きで、いわゆる「まちづくり会社」をまちづくりの核として展開するものであり、長浜市の黒壁、栃木市の商工会議所や市商連を中心とした活動が参考になる。

2] テーマ性の発揮(喜多方市、川越市、長浜市、彦根市)

商業的に成功している事例では明確なテーマ性を持っている事例が多い。テーマの大小はあるが、喜多方市のラーメン、川越市の駄菓子横町、長浜市黒壁のガラス、彦根市の若者グルメ等であり、いずれも歴史的伝統と係わりなく、新しい発想の中で組み立てられていることが特徴である。

3] 老舗の結束と再生(会津若松市、川越市、栃木市)

老舗を中心としながら、商店連合を強めようとする動きで、代表的なものに会津復古会がある。蒲生氏郷の転封された会津若松市、松阪市で歴史的まちづくりが活発に展開されていることに本家である日野町が学ぶべきことは多くある。この動きは、まちの停滞に甘んずることなく積極的に老舖として、まちづくりに参画しようとするものである。老舗といいながらも、新しい業種の「老舖」を作っていこうという異業種交流が骨格となっているのも特徴と言える。

4] 体験型の観光・交流(足助町、大阪市平野区、その他)

体験型の観光・交流スタイルが増加している。全てをそうする必要はないが、一部は採用したい項目である。体験型施設では、足助町の三州足助屋敷が著名であるが、ボランティアの地域博物館である大阪市平野区の事例もその方向の一つといえよう。

5] ボランティアを育てるイベント企画(長浜市、津山市、山東町、その他)

どの事例もイベントを出発点としてまちづくりを展開しているといえる。そこで大切なことは、イベントを契機として、ボランティアのまちづくりが定着するやり方が重要である。長浜市の空き店舗活用で高齢者の店舗展開を成し遂げた「プラチナプラザ」は、北近江博覧会のボランティアグループから実質化したものである。

 

3) 関町視察・懇談内容

【保存会ヒアリング】

・保存会は17年前に発足したが、実際にはここ2、3年前までは本格的な活動はできておらずほとんど行政主導であった。しかし、近年民間の主体性が必要と考える人がでてきたことから、昨年再結成された。

・この保存会は、保存そのものを目的とするのではなく、保存を通したまちづくりとして住民が活き活きとした生活ができてこそ意義があると考えている。

 

 

 

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