日本財団 図書館


(3) 城下町の名残が漂う東部の町並み

 

1) 3つのいいところ

日野の東部の町並みは、町家から城下町の名残を残すところで、中西部と異なり、バラエティの富んだ風情を見せている。地元の人もあまりこちらの方へは歩いては来ないということである。

東の町並みで皆の良かったところの3大ポイントは次の3つがあげられる。

 

1] 中野城跡付近

中野城跡付近はもみじやその他の木々が豊かでホッとする雰囲気がとても素敵なところである。市橋藩邸跡もあるし、変な整備をしないでこのままの雰囲気をうまく活かしてほしいというのが皆の意見であった。

2] 西大路の武家屋敷跡

西大路は武家屋敷町である。武家屋敷そのものはもう残ってはいないが、まち割りはそのまま残り、石積みがとても美しく往時を感じさせてくれる。町家にはない茅葺きの家もそこここに点在している。

3] 綿向神社前付近

綿向神社の前は蒲生氏郷ゆかりの「若松」等があるほか、西大路の山倉前にはギンギリ回しの石も残り、とても情緒があるところである。

 

2) 輿深い「町並みの良さ」

皆でゆっくり見て回って、本当に日野の町並みの良さを実感した。その中で日野独自の良さをまとめると次のことが言える。

 

1] 豊かな物語性

町のそこここに豊かな物語が有る。氏郷の産湯の井戸、会津若松命名の元である「若松」、市橋藩邸跡等々が歴史を語っている。

2] 自然、町並みの多様性

単なる街道の町並みといったものではなく、町家、屋敷、城下町、城跡、森、林等自然を含めた町並みの多様性がある。

3] 町並みの独自性

町家一つ取ってみても、低い屋根と板塀にある桟敷窓、波形の塗込め垂木等々日野の町並みには他にない大きな特徴を持っている。

保存を図るにはもう遅いとの声もありますが、結構多くの伝統的家屋が残っているのが発見できた。

 

3) 問題点や課題も多く存在している

今まで良いところをあげてきたが、問題点や課題も多く見つかった。それを列記すると次のようになる。

 

〔景観〕

・現代建築方式の新しい建物は、町並みに違和感がある。

・西大路付近の工場が殺風景である。

・美しい水路なのにガードレールがなじんでいない。

・電柱、電線が目立つ。

〔みち・水路・石垣〕

・狭くて曲がりくねっている道路が通りにくい。

・歴史が感じられて、そこがいいという意見もある。

・水路が暗渠となっているところが多いし、三面張りも興ざめだ。

・武家屋敷街の石積みと道路を修復したい。

〔来訪者からみると〕

・とにかく、観光客を迎え入れる体制が出来ていない。

・案内板、説名板が充実していない。特に地図付の案内が欲しい。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION