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鉄道は私鉄東部伊勢崎線が市域の南寄りを南東から北西方向に走り、「加須」「花崎」の2駅を有している。

地形は、関東平野の真っ只中にあるため、海抜平均14m程度のおおむね平坦な地形を呈し、地質は、耕作に適した沖積層の砂質土壌が大部分を占めている。市街地は主として市域中央部より南側に位置し、東西に長く形成されている。

気候は、雨量が夏季に多く冬季に少ない、いわゆる温暖な太平洋側気候に属し、平成6年の年平均気温は15.6℃、年平均降水量は1,048mmとなっている。

 

1-2 加須市の沿革と産業

 

奥東京湾の入江、古利根川の河口にひらけた加須は、関東地方の貝塚や古墳分布の中心部の一郭を形成しており、古代より農耕や漁撈によって生活が営まれてきた。以後、関東地方の代表的な穀倉地帯を形成してきた農業と、利根川を利用した水運に町、中山道と日光街道を結ぶ宿場町、関東三大不動「不動岡不動尊」の門前町として栄えた商業が、綿織物「青縞」や「手がき鯉のぼり」のメッカとして全国にとどろかせるに至った工業と結びついて、順調な発展を遂げてきた。総人口は7万人(平成12年現在)を越え、なお増加の一途をたどっている。最近は、111mの日本一のジャンボ鯉のぼりや手打ちうどんの町として広く知られるようにもなった。

農業では、穀倉地帯とはいえ最近は農家数、経営耕地面積とも減少している状況にあり、これは、都市化の拡大、担い手の高齢化、後継者不足などが影響しているものと考えられる。しかし、農業粗生産額の推移は大きな変化はなくほぼ横ばいで、農産物別にみると、米の占める割合が高く、次いで野菜、畜産の順になっている。ちなみに、米の耕地面積および生産高は、ともに埼玉県内第1位である。浮野の里はまさに、この農業以外の要素がほとんど見当らない、純農村地帯の真っ只中にある。

工業では、事業所数が減少しているが、製造品出荷額等を業種別に埼玉県全体と比較してみると、衣服・その他の繊維製品製造業や繊維工業の占める割合が高くなっている。

商業では、商店数は減少しているが、従業員や年間商品販売額は増加しており、とくに年間販売額は、昭和63年度以降の伸びが著しく、内訳を埼玉県の全市合計の割合と比較すると、卸売業の占める割合が低く、小売業の占める割合が高くなっている。

 

 

 

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