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生物が死んで地中に埋没したとき、生物体の一部は完全には分解されずに残存します。これが石炭であり、石油であり、天然ガスです。したがって、これらの物質に蓄えられているエネルギーは過去の太陽エネルギーです。このため、石炭・石油・天然ガスは化石燃料と呼ばれます。

 

Q158 化石燃料以外に生物体の一部が資源となっているものがありますか?

A158 石灰岩がその代表です。サンゴや有孔虫など石灰質殻をもつ生物は、H2O+CO2→H+HCO3-という反応で生成した炭酸水素イオン(HCO3-)と、岩石の風化で供給されたカルシウムイオン(Ca2+)を使って、Ca2++HCO3→H+CaCO3↓という反応により、方解石あるいは霰石(CaCO3)を合成しています。石灰岩はこのような石灰質殻をもつ生物の遺骸が集まってできた岩石です。

 

Q159 どのような鉱床が、生物活動に関係してできたのでしょうか?

A159 地球が誕生してまもない頃の大気の主成分は、窒素と二酸化炭素でした。これが、生物が発生して、二酸化炭素と水を原料にその体をつくるようになると、光合成反応で酸素が発生します。この結果、大気中には現在と同じように、遊離酸素が存在するようになり、その量が30億年前から20億年前にかけて徐々に増加しました。この結果、世界的規模で鉄鉱床が生成しました。この鉄鉱床は、磁鉄鉱あるいは赤鉄鉱に富む縞と石英に富む縞が交互にミリメートルのオーダーで繰り返しているため、縞状鉄鉱層(BIF:Banded Iron Formation)と呼ばれています。あるモデルによりますと、細かい縞の繰り返しは季節変化を反映しているということです。

 

Q160 陸域の鉱床の生成に海は関係していないのでしょうか?

A160 大いに関係しています。海洋地殻が大陸地殻の下に沈み込んで、ある深さに達すると、マグマが発生します。このマグマの発生には水が大きく関与しています。珪酸塩の溶融温度は、水が存在すると200〜300℃低くなります。海洋地殻は大洋底を海嶺から海溝へ移動するとき、海水と反応して、完全に水和しています。

したがって、この海洋地殻が沈み込み帯で地殻内部に引きずり込まれると、そこには海水由来の水が多量に存在するわけです。このため、珪酸塩の融点が低下して、容易にマグマが発生します。このマグマが固結するにつれて、残液にはH2Oなどの揮発成分が濃集します。斑岩型鉱床の金属を運んだ熱水は、このマグマ残液から分かれたと考えられています。また、マグマの熱により周囲に熱水対流系が形成され、鉱脈型鉱床が生成します。この対流系の水の大部分は陸水起源と考えられていますが、海水起源の地層水もかなりの量含まれていたはずです。

 

 

 

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