J 水陸インターフェースの生態
Q135 水陸インターフェースとはどのようなことですか?
A135 流体の水と固体の陸という違う特性をもった存在が接する場所で、相互作用をしているためインターフェースといいます。例えば、「海岸」は陸と海のインターフェースゾーンで海洋と陸双方の影響を受けます。「河岸」は河川と陸とのそれで、川の水位や流れの状態によって変動します。さらに広域的に捉える「沿岸域」の地形的な定義は海岸域と遠洋(沖合)海域とのインターフェイスで、海中は水深200mの大陸棚の縁辺部から海岸線を越え沿岸の平地が後背地の山地と接するラインまでです。すると、日本はほとんど全部が沿岸域ということになります。
Q136 海岸はどのような場所なのですか?
A136 海岸は沿岸域のなかでも海と陸の接線に帯状の「湿地」といえます。空間的スケールとしては帯状で狭いとはいえ、とても生物多様性の高いエリアです。干潟、砂浜、磯、河口域などの地形的多様性ももっています。波打ち際は、海洋への酸素の供給源にもなっていて、海中や海底の生き物にとっても重要な存在です。水の有無や人為改変で壊され易い場所でもあり、保全が難しいエリアです。
Q137 カブトガニはどうして大事にされるのですか?
A137 カブトガニは、生態系指標種、象徴種という特性をもっています。一生を通じて、産卵地として砂浜を、幼生生息地として干潟を、成体の生息地として沖合を利用しています。そのため、沿岸環境の要素がセットで健全な状態で残されていない限りは、生息が出来ません。また、学術的に生きている化石として認知度が高く、カブトガニという名の通り特徴的な形態をしているために研究者だけでなく一般市民にも見分け易いこと、歴史的に小中学校での理科教育や課外活動での自然保護教育の対象となってきたこと、水生生物としては比較的大型なので産卵時に海岸や河岸に姿を見せて理解し易いこと、繁殖時に雄が雌に鋏脚で捕まってペアとなって行動して面白い、などの多くの理由によります。生物学的な理由だけでなく、文化的理由もありそうです。
Q138 稀少生物を守ることは人間にどのように関係があるのですか?