異常気象などで、水温が30度を越えるような状態が何日も続くようになれば、サンゴは白化し始めます。1998年のサンゴ礁の白化のように、世界中の広い海域にわたって異常に高い水温が長期間続くような場合には、大規模な白化が起こって大きな環境問題になるのです。
Q133 サンゴは白化するとどうなるのですか?
A133 サンゴは白化したままの状態で時間がたつと、やがて死んでしまうことがあります。サンゴは褐虫藻から栄養をもらっていますので、褐虫藻がいなくなるか、その数がとても少なくなった状態のまま長い時間が過ぎると、サンゴにとって困ったことになるのです。サンゴ礁でとても多いミドリイシの仲間や、トゲサンゴやハナヤサイサンゴなどは、白化の影響がすぐに現れ、早い時期に死んでしまいます。しかし、白化したサンゴが全て死んでしまうわけではありません。サンゴの種類によって、白化しやすいサンゴやしにくいサンゴ、あるいは死にやすいサンゴや死ににくいサンゴがいます。白化の程度が弱く、環境条件がよくなれば、やがてサンゴの中の褐虫藻が再び増加してサンゴが元の色に戻り、元気を取り戻すこともあります。回復の速度などはサンゴの種類や白化の程度によって異なりますが、規模の小さな白化の場合にはサンゴやサンゴ礁はまた回復します。
Q134 サンゴがいなくなるとサンゴ礁はどうなるのですか?
A134 オニヒトデに食われたり、白化で多くのサンゴが死んでしまうと、サンゴ礁の様子は一変します。海中の景観は荒廃して、山火事にあった森林のような感じです。生きたサンゴの枝陰やサンゴの周りに群れ泳いでいた色とりどりの魚たちや、サンゴガニやサンゴテッポウエビを初めとして生きたサンゴの枝の間にしか住めないようなさまざまな動物たちも、またサンゴを食べていた動物たちもいなくなります。サンゴが死んだ直後は、むき出しになった白いサンゴの骨がそのままの形で残りますが、次第にそこに小さな海藻などが付いて増え、サンゴの骨の中にも動物たちが穴を開けて住むようになり、やがて骨は崩れてしまい、がれきの山になってしまいます。そのようになると、そこには以前とはかなり違う動物たちが見られるようになります。しかし、水質の悪化などがなければ、時がたつと再びサンゴなどが生えてくるようになり、もとのようなサンゴ礁になるでしょう。