A52 サンゴは、有性生殖と無性生殖によって増えます。有性生殖では、卵と精子をつくり受精させて、プラヌラとよばれる数mmの幼生をつくります。プラヌラ幼生は、海中を漂った後、海底に着生します。定着後、プラヌラ幼生は“ポリプ”と呼ばれるイソギンチャクのような形になります。ここから、無性生殖のはじまりです。ポリプは、骨格をポリプの下につくりながら成長します。さらに、定着後、数日〜1ヶ月すると横に分裂したり、別なポリプを自分の横につくって(出芽)仲間を増やします。これを群体とよびます。群体は分裂や出芽を繰り返して成長し、やがて卵と精子をつくるようになり、新しい世代をつくります。有性生殖には、放卵放精型と保育型の2つの方法があります。前者は、海中に卵と精子を放出し受精させてプラヌラ幼生をつくり、後者は、体内でプラヌラ幼生をつくり、海中に放出するタイプです。一部の保育型のサンゴは、体内でつくったプラヌラ幼生を一時的に群体上にとどめ、放出させます。また、群体には性(雄雌)があります。サンゴの場合、多くは雄と雌が1つの群体で一緒になっていますが、一部のサンゴでは雄と雌の群体が別々になっています。
Q53 地球温暖化といわれますが、地球環境はどうなっていくのでしようか?
A53 地球温暖化は、主として大気中の二酸化炭素濃度が上昇することによっておこります。人間は生活や産業のために、石油や石炭などを燃やして、車を走らせたり電気をおこします。これによって、大気中の二酸化炭素濃度が、産業革命前は300ppm(ppmは100万分の1ですから、0.03%)だったのが、現在は370ppmに増加しています。21世紀の終わりには、現在の倍の700ppmになると予測されています。二酸化炭素は、太陽の光は通しますが、太陽の光が地面を暖めた熱は通しにくいという、温室効果をもっています。この温室効果によって、二酸化炭素の濃度が倍になると、地球の平均気温が2度くらい上がるのではないかと予測されています。地球の気温があがると、海の水が温められて膨張したり、高山や極地の氷河が融けだして、海水面が50cmくらい上昇するのではないかと予測されています。
Q54 サンゴ礁は二酸化炭素を吸収するのですか? 放出するのですか?
A54 サンゴ礁では、光合成と石灰化という2つの経路で大気の二酸化炭素と関わっています。光合成は、サンゴの体内の共生藻が光のエネルギーを使って二酸化炭素と水という無機物から、生物がエサとして取り込むことができる有機物と酸素をつくる過程で、この時二酸化炭素を有機物として大気中から吸収します。しかし生物が有機物を燃やしてエネルギーを得たり(呼吸)、死んで腐る(分解)ときには、二酸化炭素は再び放出されます。一方、石灰化というのは、生きているサンゴが石灰質の骨格(炭酸カルシウム)を作ることです。このとき、二酸化炭素をかなり吸収するように思います。しかし実際は、石灰化の時に重炭酸イオンとカルシウムイオンから炭酸カルシウムを作ると海が酸性化し、逆に二酸化炭素が放出され易くもなります。サンゴ礁では、光合成、呼吸・分解、石灰化のバランスで、二酸化炭素を吸収したり放出したりしており、それはサンゴ礁の場所によっても、昼と夜によっても異なっています。