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III 複合関連システム

<解説> 濱田隆士

 

「水惑星」―「生命の星」という一連の地球理解に、今やヒトの存在あるいはヒト社会が及ぼす影響を抜きにして語ることは不可能である。ヒトがいかに高度の文明を発達させた特異な知的生命体であるとしても、結局は地球生命の一つにすぎないのであるから、そのヒトあるいはヒト社会がもたらすあらゆる所産もまた自然の一部とみなす大局的把握がなされるなら、“自然”と“人為”という対立概念は、実はこれからの地球システムの考え方の中では成立し得ないものといってよかろう。

ヒトあるいはヒト社会と地球の生物界やその環境との相互作用系の特性として、ただ単に大きなインパクトを与えるものということ以上に、本来の地球が持つ物質大循環システムのプロセスやリズムに対して様々な擾乱要因となるという点が重大である。ヒトが生きてゆくうえで、ある意味で必要悪のように発生してきた不具合もあるし、ヒトの知的不十分性がもたらした“悪気のない”誤りも含めて、ヒトとその周辺との関係は著しく多様な複雑体を形成しており、要素や現象の一つ一つの理解だけからはなかなか全体像を把握できない事態に至っている。

自然体として環境とほぼ1対1の密着した相互作用系をなしていた初期の人類時代は、も早歴史上の一“特異点”として認識されるべきであり、以降の地球システムは、水循環システムを含めて知的ヒトとその社会の環境との変則的相互作用として、ヒト出現以前の言うなれば地球が歴史を通して築き上げてきたオルソ地球環境からヒトのインパクトによって変質・変形をとげ、これまでにないシステムの乱れが内在するようになったメタ地球環境への転換が起こったという、大局的把握が大切となるパラダイムの一大変革の時代に突入したと言えるのではなかろうか?

 

 

 

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